杉並区は認可外に預けても加点されない|代わりに効く2つの項目と助成金
「認可外に預けておくと認可の選考で有利になる」という話を聞いて、杉並区でも同じだろうと考えている方がいるかもしれません。
杉並区では、これは当てはまりません。区が公表している調整指数には、認可外保育施設の利用による加点項目がないためです。
ただし、認可外に預けること自体が無意味というわけではありません。何が加点され、何が加点されないのか、そして助成金がいくら出るのかを整理しました。
調整指数に認可外の項目はない
杉並区の「保育施設利用のご案内」には、調整指数として25の項目が並んでいます。生活保護世帯、ひとり親世帯、きょうだいの同時申込み、育児休業の取得状況、保育料の滞納、医療的ケア児などです。
このなかに、認可外保育施設に預けていることを理由とする加点はありません。
東京23区のなかには認可外利用に加点を設けている区もあるため、他区の情報をそのまま当てはめると判断を誤ります。杉並区では別の項目を見る必要があります。

代わりに効く2つの項目
1. 育児休業を取得している場合
「働いているから点が付くのか、休んでいるから点が付くのか」が分かりにくいところです。杉並区の点数は2階建てになっていて、両方に点が付きます。
1階:どれくらい働くか
月20日以上かつ週40時間以上の就労で、1人あたり20点。両親ともフルタイムなら40点です。
育児休業中の方も、この点数が付きます。区の案内にこう書かれています。
育児・介護休業法に基づく「育児休業」を取得している場合は、 休業前の就労日数及び就労時間により、就労の指数を適用します
つまり、いま休んでいても、育休に入る前の働き方で点数が決まります。
2階:いま育休中であること
そのうえで、申込日の時点で育児休業を取得していると、さらに加算されます。
1歳児クラスへの申込み ── +2
2歳児クラスへの申込み ── +3
3歳児クラスへの申込み ── +4
40点は「働いていること」への点数、+2は「いま育休中であること」への点数です。育休から復帰して1歳児クラスに申し込む方は、この2つが合わさって42点になります。
公表された最低内定指数も、42点が中心でした(杉並区の保育園は何点で入れるのか)。ただし公表されているのは合計の数字なので、それぞれの家庭の内訳までは分かりません。
なお、育児のための時短勤務を使う場合も、短縮後の勤務が月80時間以上(または通常の勤務時間の半分以上かつ月48時間以上)であれば、時短前の勤務時間で点数が計算されます。
2. 育児休業制度がない場合
見落とされやすいのがこちらです。
保護者全員が育児休業制度のない自営業や、勤務先に育児休業制度があるが適用対象外の場合であって、 出産休暇後、復職(予定)する場合
0歳児クラス ── +4
1〜2歳児クラス ── +2
自営業の方や、勤務先に制度はあっても勤続年数などの要件で対象外になる方が該当します。給付認定の事由が就労であること(産前休暇前まで引き続き就労していた場合に限る)が条件で、外勤の場合は勤務先の証明が必要です。
育児休業が取れないために早く復職せざるを得ない世帯を、制度として拾う設計になっています。認可外への加点を置かず、こちらに配点しているのが杉並区の特徴です。
同じ点数だったとき、決め手になるのは居住期間
杉並区では、指数が並んだ場合に7段階の優先順位で選考されます。
① ── 申込日現在、申込児童と保護者のどちらかが区に住民登録し、現に在住している
② ── 障害児認定を受けている児童
③ ── 入所の申込み(きょうだいと同時に申し込む場合や、きょうだいが通っている園を第1希望にした転園の申込みも対象。それ以外の転園の申込みは対象外)
④ ── 保護者が区内の保育施設に保育士・保育教諭として勤務し、育児休業中である世帯
⑤ ── 経済的に困窮度が高い世帯(保育料の階層区分がA・B階層)
⑥ ── 区に住民登録し、引き続き居住している期間が長い世帯
⑦ ── 区民税所得割額が低位の世帯

ここにも認可外に関する項目はありません。
杉並区は、園ごと・年齢クラスごとに、内定した人のなかでいちばん低かった指数を公表しています。そこで同点があった場合は、「42⑥」のように、どの順位で決まったかが指数の後ろに添えられます。
令和8年4月の一次選考では、この記号が付いた204のクラスのうち、182クラス(89.2%)が⑥の居住期間でした。
これは各クラスのボーダーライン上で何が使われたかを示すもので、同点になった世帯すべての決まり方を集計した数字ではありません。それでも、点数が並んだあとに効いてくるのが居住期間だという傾向は読み取れます。
④に「区内の認可保育所等・認証保育所・認可外保育施設(都の指導監督基準を満たしたベビーホテル)に保育士として勤務し、育児休業中である世帯」という項目がありますが、これは施設で働く側を対象とした優先順位です。令和10年4月入所までの適用で、月80時間以上の勤務が条件、区の職員は除かれます。利用者としての加点とは別の話になります。
助成金は月8万円が上限
加点はありませんが、保育料の助成はあります。杉並区認証保育所等保育料負担軽減助成金という制度です。
0〜2歳(課税世帯) ── 認証保育所・認可外保育施設 80,000円
0〜2歳(非課税世帯) ── 認証保育所・認可外保育施設 80,000円 / 一時預かり事業等 42,000円 / 企業主導型 38,000円
3〜5歳 ── 認証保育所・認可外保育施設 77,000円 / 一時預かり事業等 37,000円 / 企業主導型 40,000円
対象になるのは、国の認可外保育施設の基準を満たすなどの要件を備えた施設です。預け先を選ぶときは、助成の対象施設かどうかを区のページで確認してください。
認定がないと1円も出ません
この制度で最も重要な条件がこれです。
施設の利用開始日までに区から「保育の必要性」の認定を受けていること。
保育の必要性の認定は、就労や疾病などの事由で保育が必要だと区に認めてもらう手続きです。認定を受ける前の期間はさかのぼって助成されないため、預け始める前に認定を取っておく必要があります。
このほかに、次の条件もあります。
対象施設と保育の契約を結んでいること。0〜2歳児クラスの課税世帯は「月48時間以上」の契約であることが求められます
利用中の保育施設や、過去に利用していた認可保育所等の保育料を滞納していないこと
認可保育所・認定こども園・幼稚園などに在籍していないこと
締切は期ごと。同一年度内は原則自動更新
第1期 ── 対象月 4月〜6月 / 申請期限 6月30日 / 振込予定 8月中旬
第2期 ── 対象月 7月〜9月 / 申請期限 9月30日 / 振込予定 11月中旬
第3期 ── 対象月 10月〜12月 / 申請期限 12月25日 / 振込予定 2月中旬
第4期 ── 対象月 1月〜3月 / 申請期限 3月19日 / 振込予定 5月中旬
申請した期以降は、同じ年度のあいだは原則として自動更新されるので、毎回出し直す必要はありません。ただし年度が変わると改めて申請が必要です。
また、年度の途中でも申請の内容が変わる場合は再申請が必要です。ほかの認証保育所等へ入所先が変わる場合や、一度退所した施設に再び入所する場合などが当てはまります。
では、杉並区で認可外に預ける意味はあるのか
選考を有利にするという意味では、効果はありません。それでも認可外を検討する理由があるとすれば、次の2つです。
1. 実際に預け先を確保できること
認可に入れなかった場合、復職の予定そのものが崩れます。認可外は施設に直接申し込むため、認可の結果を待たずに枠を押さえられます。
2. 負担が思ったより小さくなること
月8万円の助成は、認可外の保育料を大きく相殺します。認定を先に取り、期ごとの締切を守ることが前提ですが、「認可外は高いから無理」と決めてしまう前に一度計算してみる価値はあります。
加点を期待して預けるのではなく、預ける必要があるかどうかで判断するのが杉並区での考え方になります。
まとめ
杉並区の調整指数は25項目あるが、そのなかに認可外利用による加点はない
代わりに、育児休業の取得(1歳児+2/2歳児+3/3歳児+4)と、育児休業制度がない場合(0歳児+4/1〜2歳児+2)に配点されている
同点時の決め手は区の居住期間。公表データでも、ボーダー上で優先順位が使われた204クラスのうち182クラス(89.2%)が居住期間だった
助成金は0〜2歳で月8万円が上限。ただし利用開始日までに保育の必要性の認定が必要
締切は期ごとにあるが、一度申請すればその年度は原則自動更新。年度が変わったとき、転園や退所後の再入所などで申請内容が変わったときは再申請が必要
預け先が決まったら
入園が決まると、通園と生活の準備が一度に必要になります。ベビーカーやチャイルドシートのように使う期間が限られるものは、中古で揃えている家庭も多くあります。
出典
指数と選考の規定は杉並区「令和8年度 保育施設利用のご案内」P22〜26、助成金の内容は「杉並区認証保育所等保育料負担軽減助成金」によります(2026年9月25日確認)。内定指数の実績は区が公表している「保育施設別指数一覧(令和8年4月入所の利用調整分(一次))」をもとにしています。
制度は年度ごとに見直されます。最新の取り扱いは必ず杉並区の公式ページでご確認ください。